一年中で一番静かな日

この国では、クリスマスは、一年中で一番静かな日。

お店も銀行もレストランも、なにもかも、みんな閉まっていて、
バスも、鉄道も、公共の交通機関は全て動いていなくて、
タクシーは予約すればあるけど、普段の値段の2倍。

だから、誰も出歩いていないので、
あたりはほんとうに、
びっくりするほど、しーんと静まりきっています。

みんな家族と一緒に、家に居て、
プレゼントを開けて、年に一回の大きな食事をして…、
今頃、テレビで、クィーンのクリスマス・メッセージを観終った頃でしょうか。

さっき、海の向こうでクリスマスを迎えているあなたから電話。
寂しくしていないか心配だって。
あちらは、雪が積もって、ホワイト・クリスマスですって。

ありがとう。
でも、心配しないで。
自分でも驚いているくらい、今年は、ひとりで居るのが大丈夫。
去年の今日は、あんなに苦しんだのに。

この1年間、たくさん話し合って、
たくさん泣いて、
たくさん笑って…。

あなたとの関係のなかで満たすものと、
私自身の中で満たすべきものが、

堂々と求めるべきことと、
騒ぐ必要の無いことが、

子どもの頃に、欲しがることの訓練をするチャンスが無かった私にも
やっと、少しずつ見えて来て、

一年中で一番静かな日が、またやって来ても
世界中で一番遠くに、あなたが行ってしまって居ても、

その静けさに突き刺されることなく、
自分の置かれている場所に凍りつくことなく、

心穏やかに、一人で居る自分を、
あるがままに、受け入れられるようになりました。

6年近くかかったけど、
諦めないで、良かったです。